Dora's House - SCD
USE : 社員寮 
TYPE : 新築
PLACE : 東京都大田区
COMPLETION : 2019.07
PHOTO : 山内 紀人

東京における最小限の集合住まい
電灯工事業会社の社員寮の計画。敷地は大きな幹線道路から1本小道に入った商工業ビル・住居が立ち並ぶ場所である。施主の要望として居室を10室、それぞれ極力小さな面積を求められた。法規上は東京都安全条例の居室面積の最低基準として7㎡を基準として計画する必要があり、このような敷地周辺の外部環境と小空間を結びつけ東京における最小限の集合住まいとしていかに豊かでその場所らしい建物が計画できるかを考えた。当初この7㎡(約4畳)という広さが集合としての快適な住まい在り方としての想像がつかず、計画事例も見つけることができなかった。それでも計画を思考的に進めていく上で7㎡というは漫画喫茶のブースより広く、一般的なホテルのシングルルームより狭いと位置づけ、その「間」の設えとして住まいとしての想像がつき計画を進めることができた。具体的には居室を2層に分け5部屋ずつ計10室と1層部分に共用のキッチンダイニングと水回りを設えた。全体の面積を敷地に当てはめると西側の道路斜線より3階部分が上手く納まらないため、1階は地下水位より下がらないギリギリまでの半地下にして2階のバルコニーを道路からの高さまでギリギリまで下げた。建物を高層化する方法もあったが建物の高さを抑えることで地面と切り離されないような関係をつくりたかった。また居室空間は単調にならないようにするため天井の構造体である梁を露出させ、床のデッキプレートの現しのままの仕上げとしている。一見武骨にも見えるこのステンレスの天井は外部からの光を反射光として柔らかく取り込み室内奥まで明るくし、同時に外部の気配のようなものを取り込むようになっている。商工業ビルが立ち並ぶ外部環境と調和的であり合理的な内装である。また建物全体は各所視線が抜けるように建具・階段・開口を設えている。外部の風景が工業的(硬質無機質な材料)なもので構成されるなかで、素材としてデッキプレートを露出させることは内外を連続的にし、外を意識できるような内部空間ができる。法規的に要請されたバルコニーは各居室を水平・連続的に繋げて居室の開放性・拡張性を助長し機能的にも道路からの視線を遮り、庇としてバッファーの役割を担っている。工業的かつ合理的な設えで住空間との調和を図り外部環境へ開放性・拡張性を獲得している。
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